福の神といえば、やっぱり七福神!
七福神の中でも一番人気の大黒天は笑顔でメタボなオジサマの姿をしていますが、実はとっても怖い神様だったんですよ。知っていましたか?
今回は、そんな大黒天について紹介します。
大黒天は破壊神のマハーカーラだった
大黒天はもともと、インドのヒンドゥー教で信仰されているマハーカーラ(シヴァ神)でした。マハーカーラは密教とともに中国へわたってきて、天台宗の開祖、最澄によって日本にもちこまれました。
マハーカーラは、破壊神というだけあって、とっても怖~い神様です。踊りながら世界を破壊して、その後に再生をもたらすんですって!
一方、マハーカーラは厨房や食糧庫も守ってくれます。その力を借りようと思った最澄は、マハーカーラを日本にもちこんで、天台宗の寺院の厨房で「三面大黒」として祀りました。
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三面大黒は、三面六臂(三つの頭と六本の腕)の姿で、手に金の袋を持っていました。これが現在の大黒天のはじまりなんですよ。
寺院の厨房を守っていた大黒天は、民衆の間でも“台所の神様”として広まっていきます。人々になじみやすいように、大黒天は笑顔でメタボなオジサマの姿へと変わっていきましたとさ。
大黒天はネズミを意のままに操る力を持つ
昔から、食べ物を食い荒らすネズミは人々の嫌われ者でした。一方で、火災などを予知する動物として、霊的な力があると考えられていました。
大黒天は、台所の神様に任命されると、ネズミ駆除まど押し付けられちゃいました。だから、「大黒様はネズミを意のままに操る」なんて考えられるようになったんですね。
ネズミは大黒天の使者といわれます。
特に白いネズミは縁起が良いと考えられて、「ダイコクネズミ」と呼ばれるほどでした。ダイコクネズミは現在、実験動物として、私たち人類の役に立っています。なるほど、たしかにありがたい存在ですね。
大黒天が大国主命と合体してしまった
大黒天は、人々に受け入れられていく中で、なんと「大国主命(おおくにぬしのみこと)」と合体しました!(合体することを「習合(しゅうごう)」っていいます)
「大国」を音読みすると「だいこく」なので、「同じ名前だ!」っていうダジャレのような発想から、「大国主命=大黒天」とされちゃったんです(笑)
大国主命といえば、日本神話では、葦原中国(あしはらのなかつくに=私たちの住む世界)を作ったとされる、とっても重要な神様。因幡の白兎伝説や国譲りのエピソードが有名ですよね。
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「大国主命=大黒天」というイメージは、たとえば戦前の尋常小学唱歌「だいこくさま」などにも見られます。
ちなみに、大黒天が手に持っている「打ち出の小槌(うちでのこづち)」は、「槌」が「土」と同じ「つち」です。なので、さまざまな農作物を生み出す大地を意味しているんですよ。
いろんな顔を持つ大黒天がステキすぎる
大黒天は、インドから中国を経て、日本へやってきました。
最初は天台宗の厨房を守っていましたが、“台所の神様”として民衆に広まるうちに、いろんな顔を持つようになったんですね。
大黒天の優しい笑顔の裏には、こんなにもたくさんのドラマがあったなんて……。
私はますます大黒天が好きになっちゃいました!