スピ女の皆さんは「鷽」という漢字の読み方を知っていますか?
「鷽」は「うそ」と読みます。「え~ウソ~」って、寒いことは言わないでくださいね(笑)
鷽はスズメ目アトリ科ウソ属の鳥です。そして、昔から動物信仰の対象とされてきました。
今回は、鷽にまつわる神事「鷽替え(うそかえ)」について紹介します。
鷽は菅原道真や天満宮と縁の深い鳥
鷽の名前は、口笛を意味する古語「うそ」に由来します。「嘘つき」の「うそ」じゃありませんよ。
名前の通り、口笛のような「ヒーホー」という声で鳴くので、その鳴き声が昔の人々に愛されてきました。
「鷽が里に下ると嵐になる」「鷽の雄が鳴くと雨が降る」など、天気に関する言い伝えが伝わる地域もあります。
鷽は天満宮と縁の深い鳥です。天満宮といえば、学問の神様、菅原道真を祭っている神社!
菅原道真は、左遷先の大宰府で蜂の群れの襲われます。そのとき、たくさんの鷽が飛んできて、蜂を一匹残らず食べ尽くしちゃったんですって。
この言い伝えから、鷽は菅原道真ゆかりの鳥とされ、天満宮で鷽替えが行われるようになりました。
不幸がウソになる“鷽替え”が大人気
鷽替えの意味は、「去年の悪(あ)しきもうそとなり、まことの吉(よき)に鳥替(とりか)えん」です。「去年の不幸や嫌なことをうそにして、今年の幸福や良いことに取り替えよう」ってことですが……。う~ん、ダジャレ!(笑)
でも、鷽替えは太宰府天満宮で行われていた神事が発祥だっていうから、単なるダジャレではないみたいですね。
鷽替えは、日本全国に広まっていきます。中でも有名なのは、東京都江東区にある亀戸天神社(亀戸天満宮)の鷽替え。
始まりは文政3年(1820年)。当時は、自分で作った鷽の木彫りを持った参詣人が、「鷽替えましょう、鷽替えましょう」と言いながら、他の参詣人と鷽を交換したそうです。
中でも、神主さんの作った金製の鷽をゲットした人が、その日の“最も幸せな人”になったんですって。
その後、太宰府天満宮と同じやり方の鷽替えに変わっていきました。現在は、前年の鷽を神社の納めて、新しい鷽と取り替えます。
このときに持ち帰る木彫りの鷽は全て手作りで、開運・出世・幸福のお守りとして大人気!
亀戸天神社の鷽替えは、毎年1月24・25日に執り行われます。
亀戸天神社の鷽を求める参詣者が多いので、2日目には売り切れ続出……。そんなときは、「この神の誠の徳の現れて 鷽はすべて売り切れにけり」という歌の書かれた紙が渡されます。
来年の鷽替えに参加して幸福になろう
現代の私たちからすると、鷽はなじみのない鳥なんじゃないでしょうか?
でも、鷽は菅原道真にゆかりがあって、しかも不幸をうそにしてくれる、とってもありがたい鳥なんですよ。
「今年は嫌なことが多いなぁ」っていうスピ女さんは、来年の鷽替えに参加してみてはいかがでしょうか?