クリスマスといえばサンタクロース!
サンタさんは、白いひげ、赤い服、そして大きなプレゼント袋を持ったおじいさんの姿をしていますね。クリスマスの日には、そんなサンタクロースが街中にたくさん現れます(笑)
ところで、サンタクロースの由来って、いったい何なんでしょうか?
聖ニコラウスがサンタクロースのモデルになった
サンタクロースは、いろんな人物伝や言い伝えが混ざり合って誕生したって、知っていましたか?
でも、サンタクロースのモデルとして人気なのは、やっぱり聖ニコラウスですね。
ニコラウスは、4世紀に小アジアの古代国家リュキアの都市ミュラ(現トルコのデムレ)で活動していた大司祭です。
ミュラのニコラウスに関する伝説がたくさん語り継がれてきました。
一番有名なのをまずは紹介します。
年頃の3人娘をもつ貧しい男性が、娘たちを嫁入りさせるためのお金に困って、「娘たちを働かせるしかない」と思っていました。そんな男性の家に、ニコラウスが三日間続けて金塊を投げ込んだんですって。
このとき、ニコラウスは家の煙突から金塊を投げ入れたとか、暖炉の火のそばで乾かしていた靴下の中に金塊が入ったとか、いろいろエピソードがくっつくバージョンもあります。
これって、サンタさんが煙突から入ってくるイメージや、クリスマスのプレゼント袋が靴下の形をしていることにも、つながってきますね。
ニコラウスは結婚前の女性たちの守護聖人として大人気!
他にも、嵐に遭った船を海を鎮めて救ったとか、飢饉のときに小麦を貧しい人々に分け与えたとか、いろんなニコラウス伝説があります。
同じ名前の司祭や他の聖人の伝説も吸収しながら、船乗りや商人などの間でも伝説は広まっていきました。ニコラウスの名前を借りた教会があちこちに建てられたほどです。
聖ニコラウスは魔物をお供に連れてやって来る
1087年にトルコがイスラムに支配されました。そのため、ニコラウスの遺骨はイタリアの都市バーリに移されて、カトリック教会にもニコラウスが知られるようになりました。
そして、ニコラウスを守護聖人とする船乗りたちが、ヨーロッパ全体にニコラウス伝説を伝えていきました。
でも、当時のニコラウスって、現在のサンタクロースとはちょっと違っていたんですよ。
服装はサンタコスチュームじゃなくて、もっとお堅い司教の祭服。司教冠をかぶって、右手には司教杖を持っていました。左手には、子どもの一年間の行いが書かれた閻魔帳までを持っていて……。
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髭を生やした老人っていうのしか、現代のサンタクロースとの共通点が無いじゃない!(笑)
世界中には、クリスマスとは別に「聖ニコラウスの日」がある地域もあります。この日に現れる聖ニコラウスは、サンタクロースになる前の姿をしているんですよ。
たとえば、オーストリアやドイツの一部地域では、聖ニコラウスが「クランプス」という魔物をお供に連れています。
クランプスは、頭にヤギの角が生えていて、全身が真っ黒な半人半獣の姿。手に持った鞭をピシッ!ピシッ!と鳴らして、子どもたちをおどかします。
「おどかす」といっても、弱い者いじめをするわけじゃありません。「おまえは最近、お母さんの言うことを聞かないそうじゃないか?」って感じで子どもに詰め寄って、鞭をピシッ!
まるで日本のなまはげ!「悪い子はいねがー」ってのと同じですね。
一方、ニコラウスは、子どもの様子を見ながら、キリスト教の大切な教えについて子どもと問答した後、ちょっとしたおみやげを子どもに渡します。おみやげはちょっとしたお菓子で、クリスマスプレゼントとは別扱いです。

「聖ニコラウスの日」は、ニコラウスが本来の姿で子どもたちの前に現れる祭日なんですね。それにしても、魔物をお供に連れているなんてビックリ!
北欧神話のオーディンやトールが聖ニコラウスに影響
聖ニコラウスの伝説が現在のサンタクロースの姿になったのはどうして?
いろんな説がありますが、その中には、北欧神話の神々について考える説もあります。
バルト海沿岸の地域では9~11世紀ごろ、海賊のヴァイキングが活躍していました。
ヴァイキングは、冬の寒さが厳しくならないように、毎年「冬」をていねいにもてなしていました。まあ、仲間の誰かに「冬」のコスプレをさせて、その「冬」を囲ってどんちゃん騒ぎをするってやつですよ。
キリスト教が広まる前は、こういう習慣に北欧神話が影響していました。「冬」の姿に影響を与えたのは、北欧神話の最高神オーディンとその息子のトールでした。
オーディンは、つばの広い帽子を目深にかぶった髭の老人で、空飛ぶ八本足の馬スレイプニルに乗っています。これって、帽子をかぶった髭老人で、八頭のトナカイが引くそりに乗って空を飛ぶサンタクロースの姿とぴったり重なります。
ただし、オーディンは冬の夜に人々を裁くために現れるのに対して、サンタクロースは子どもたちにプレゼントを配ります。ここは真逆!
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一方、トールは赤毛赤髭の大男で、二頭のヤギが引く戦車に乗っています。サンタクロースの定番衣装は赤ですが、色が共通していますね。
トールは、北欧に春を告げる雷が神様の姿になったものです。子どもたちに喜びをもたらすサンタクロースと性格も似ています。
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オーディンやトールといった北欧神話の神々が聖ニコラウスに影響を与えて現在のサンタクロースのイメージが固まったいったというのは、おもしろくないですか?
ご先祖様から現代人へと受け継がれた思い
最近の子どもたちは、「サンタクロースの正体はお父さんとお母さん」って言いますよね?
そんな夢の無い話はさておき、サンタクロースの起源をさかのぼると、昔の人たちのいろんな思いにつながっているとわかります。
民間信仰とは、ご先祖様から現代人へと受け継がれた思いに身を委ねることだと思います。
「サンタクロースなんていません」って寂しいことを言うよりも、街中にあふれるサンタクロース(姿の人)たちと一緒にクリスマスを大いに盛り上げる方が、幸せになれるんじゃないでしょうか?