子どもの頃、クリスマスプレゼントをもらえるのがとっても嬉しかったのを覚えています。
プレゼントを持ってくるのがお父さんとお母さんだってことは、小学2年くらいのときには知っていましたよ。
それでも、12月25日の朝、枕元にプレゼントが置いてあると、「ヤッター!」って思いました。
そんなクリスマスプレゼントはもともとクリスマスにあった習慣じゃないって、知っていましたか?
今回は、クリスマスプレゼントの由来について紹介します。
クリスマスプレゼントの起源はサトゥルナリア祭と聖ニコラウスの日
「クリスマスプレゼントって、年末に在庫一掃処分するためにおもちゃ企業が仕組んだんじゃないの?」
そう思っている人がいるかもしれませんが、残念ながら(?)違います。実は、歴史のある伝統的な習慣なんですよ。
古代ローマでは、12月17日から24日にかけて、サトゥルナリア祭が開催されました。サトゥルナリア祭は、農耕神サトゥルヌスにちなんだお祭り。人々は仕事を休み、宴会を開いてドンチャン騒ぎをし、お互いにプレゼントを交換しました。
大人から子どもへプレゼントを渡すようになったのは、もっと後の時代。聖ニコラウスの日に、ニコラウスが子どもたちにおみやげを渡していました。
聖ニコラウスについては、以下の記事を参照してください。

もともとはおみやげしかなくて、クリスマスプレゼントなんて存在しなかったんですよ。
こうした民俗行事を“改革”しようとしたのが、16世紀に宗教改革を起こしたマルティン・ルターです。
ルターは、プレゼントを贈る日を12月24日のクリスマス・イヴに移動させました。
また、ルターが始めたプロテスタントは、個人が神と直接関わることを理想として、カトリック教会を否定しています。
だから、司教や聖人なんて認めたくない!あらゆる幸福は、神とその子であるキリストからもたらされるんだ!聖ニコラウスよ、さようなら!
幼な子イエスやクリスマスおじさんがプレゼント配布役になった
「聖ニコラウスの代わりに誰がプレゼントを運んでくるの?」という疑問に対して、ルターは「キリストの名において、誰かがこっそり運んでくるんだよ!」ってことにしました。
でも、「誰かがこっそり運んでくる」で納得できないのが一般人。「誰か」って誰よ?素性の分からない人が家にやって来るんじゃ、不審者じゃない!
という流れで登場したのが幼な子イエス。白い衣をまとった小さな子どもの姿をした幼な子イエスが、クリスマスイヴの夜に子どもたちへプレゼントを配り歩くんですね。
幼な子イエスは、聖ニコラウスの役割を引き継いでいるので、悪い子をおどかすおばけ(クランプス)を連れています。親の言うことを聞かない子や友達をいじめる子は、おばけに鞭でピシッ!しかも、プレゼントは無し!
そして、もう一人、プレゼントの運び人が登場しました。クリスマス自体が人間化したクリスマスおじさんです。クリスマスおじさんはいろんな人物や伝承などのイメージを取り込みながら、いつの間にか現在のサンタクロースの姿が定着しましたとさ。
サンタクロースの代理人はクリスマスプレゼント選びで一苦労
クリスマスプレゼントは聖ニコラウスの日に由来するので、ベッドや暖炉にかけた靴下にプレゼントを入れるのが一般的でした。なので、プレゼントの大きさは靴下に入るくらいだったんですね。
でも、宗教改革期のドイツではクリスマスツリーのわきにプレゼントを置くようになって、それが世界中に広がりました。これをきっかけに、大きなプレゼントでも問題なくなりました。
子どもにとっては「ラッキー!」でしょうが、プレゼントを運ぶサンタクロースは「運ぶのが大変じゃわい」って嘆いていそうです(笑)
サンタクロースの代理人であるお父さんとお母さんも、毎年クリスマスプレゼント選びに苦労していることでしょう。聖ニコラウスの日みたいに「ちょっとしたお菓子をあげればOK」ってわけにいかないですからね。