街中を散策していると、思わぬ出会いがあるんですよね。
今回は、都営大江戸線月島駅の近くを散策しているときに出会ったお地蔵様を紹介します。
路地裏にいらっしゃる佃天台地蔵尊
月島駅6番出口を出て北へ行くと、住吉神社や佃公園があります。そこへ向かって路地を歩いていたら、「佃天台地蔵尊」の旗が……。
――えっ、どこにお地蔵さまがいらっしゃるの?
そう思いながら、私は細~い路地へと吸い込まれていきました。
両側には民家の壁。突き出した面格子や排気口。「こんなところに入っていいの?」と思いながらも、路地裏フェチの私はドッキドキ!この道、この雰囲気、大好き!
少し歩くと、オレンジ色の明かりに照らされた場所がありました。
お線香のほんのりとした香りに包まれた不思議な空間――。入り口に手水舎があって、奥には奉納提灯がズラリ!
石に刻まれた地蔵菩薩は、きれいなお花に囲まれていました。
だいぶ傷んでいるようで、「手をふれたり水をかけたりしないように」という注意書きがあります。地元の人たちに愛されているお地蔵様なんですね。
地蔵菩薩の優しいお顔を見ていると、心が癒されちゃいました。
地元の人々が自ら守り続ける大銀杏
入り口にあるパンフレットには、佃天台地蔵尊の縁起が書かれています。
江戸時代の中期(正徳五年~元文三年(1715~38))、上野寛永寺の崇徳院宮法親王が地蔵菩薩を厚く信仰し、自ら地蔵尊像を描いて江戸の寺院に賜りました。上野浄名院の第三十八世である妙連大和尚がこの地蔵尊像を拝写しましたが、その一つが佃天台地蔵尊なんですって。
佃天台地蔵尊の「天台」は、妙連大和尚が天台宗の僧だったからとも、天台宗の教義である「一切衆生悉有仏性(人は本来的に仏である)」に由来するとも考えられているんですよ。
ご利益は、子どもたちを守ってくれるだけじゃなく、長寿延命・家内安全・諸願成就と盛りだくさん。佃島の人々をはじめ、多くの人々に深く信仰されているお地蔵様です。
手水舎の左側に見えるゴツゴツしたものは大銀杏の幹です。
壁に貼られている東京新聞によると、この大銀杏を文化財に指定する話もあったけれど、地元の人々が断ったそうです。信仰は、行政の管理に委ねられるものじゃないってことですね。
温もりのあるパワースポットで癒される
天へと伸びる大銀杏と、その根元にいらっしゃるお地蔵様――。
路地裏のパワースポットには、この場所を守り続けてきた人々の思いがあるんですよ。
足を踏み入れると体に染み入ってくる温もりは、そんな思いから生まれてくるんだと思います。
月島駅周辺に立ち寄る際は、佃天台地蔵尊にも是非足を運んでみてください!