終活を始めようと思っても、何から始めればよいのかがわからず、悩んでしまいますよね。
でも、わからなくて当然なんです。だって、誰もが一生に一度しか終活を経験しないんですから。
誰もが悩む終活ですから、不安になる必要はありません。自分なりに終活の目的を考えて、「やることリスト」を作れば大丈夫です!
終活の目的をはっきりさせよう
そもそも終活の目的は何ですか?
終活は「人生の終わりのための活動」の略です。人間は必ず「人生の終わり」である死を迎えます。その死をゴールと考え、人生を振り返って総括し、生きているうちに葬儀や墓を準備したり、遺産相続の計画を立てたりするのが終活なんですよ。
現在では広く知られる終活ですが、実はその歴史は長くありません。
「終活」という言葉は『週刊朝日』元副編集長の佐々木広人氏によって生み出されたとされます。2009年に終活に関する連載が始まり、これがきっかけで終活がブームとなったんですって。
終活に関する書籍が何冊も出版され、ビジネスとも結びつき、さまざまな思想や方法論が登場してきました。そのため、同じ「終活」という言葉が使われていても、人によって考える内容もやっていることも全然違うんですよ。
でも、こうした終活すべてに共通するのが「人生の終わりのための活動」という方針です。
確かに「人生の終わり=死」は誰にでも訪れます。でも、その死が何を意味するかは人それぞれですよね?
何人も子供がいる人にとっては、自分の死後に遺産相続争いが生じないかが心配でしょう。独身の人にとっては、誰にも発見されずに息絶える孤独死が深刻です。
先祖代々の墓に入りたい人もいれば、自分を虐待した両親と同じ墓には絶対に入りたくない人もいます。
自分の死よりも、配偶者や両親の死が気になる人もいると思います。
このように、死の意味が人によって異なる以上、終活の目的も人によって異なってくるんです。
まずは、自分の現状を正しく捉えるといいんじゃないでしょうか?
そして、「自分にとって死とはどのようなものか? 死とどう向き合いたいか? そのためには、残りの人生をどのように生きるべきか? 何を準備しておくべきか?」を具体的に考えましょう。
そうすれば、自分なりの終活の目的が自然とはっきりしてくるはずです。
終活の「専門家」に相談すべきか?
終活の目的がはっきりしたとしても、次に何をどうすればよいのかがわからずにとまどうかもしれません。そんなとき、終活の「専門家」に相談したくなりませんか?
終活の「専門家」は、たとえば次のような資格を有しています。
- 終活ライフケアプランナー
- 終活ガイド
- 終活アドバイザー
- 終活カウンセラー
- 終活士
終活に関連性が強い資格としても、たとえば次のようなものがあります。
- お墓ディレクター
- 生前整理アドバイザー
- エンディングノートプランナー
- 相続アドバイザー
これらの有資格者に相談してみるのも悪くはないと思います。
でも、注意してくださいね。これらの資格はどれも民間資格で国家資格ではないんですよ。
有資格者とはいえ、弁護士や税理士などのように法的・行政的な手続きを代行してくれるとは限りません。もし代行している人がいるとすれば、犯罪の可能性もあります。
たとえば、有料の法律相談は弁護士にしか認められていません。終活相続エンディングアドバイザーが弁護士資格も有しているなら別ですが、そうでないなら弁護士法72条の非弁行為となって違法です。怪しげな宣伝をしている業者は絶対に信用しないでくださいね!
さらに、これらの民間資格は合格率が高いものもあり、有資格者に充分な知識や技術があるのか疑わしいことも……。
有資格者に相談するとしても、終活の全てを丸投げするのは避けたいところです。
終活に限ったことではありませんが、自分の人生に関わることは自分で主導権を握って進めていかないと後悔する可能性がありますよ。
終活「やることリスト」を作ろう
終活の手始めにエンディングノートを書く人が多いですね。
もちろん、エンディングノートを書くのはよいことです。でも、この作業に時間を費やして、本当にやるべきことを後回しにしていたら、認知症になってしまった……では悲し過ぎます。
そんなことにならないように、まずは終活「やることリスト」を作ってしまうのがお勧め!
やることリストはネット上でも手に入ります。リストの項目は人によっていろいろです。少ないものでは5項目程度から、多いもので30項目以上になるものまで。共通するのをまとめると10項目程度になります。
やることとして誰でもすぐに思いつくのは、「遺産相続の準備」「葬儀やお墓の準備」などでしょうか?
一方、カメのように長生きするペットを飼っている人にとっては「ペットの譲り先の決定」が、オタク趣味がある人にとっては「コレクションの整理」がそれぞれ項目に追加されるでしょう。しかも、これらは一部の人にとって、とても重要な項目です。
人によって「何が大切か?」が違いますから、リスト化した各項目の優先順位を決めるのがとても大切!
優先順位を決めるときは、各項目が下の図のどこに位置するかを考えるといいですよ。
赤い横軸は、自分のための項目か他人のための項目かを表します。青い縦軸は、生前に必要な項目か死後に必要な項目かを表します。
自分なりに考えた終活の目的をふまえ、この図にやることリストの項目を書き込んでいきます。
たとえば、結婚するつもりはないし、子供も欲しいと思わない人について、代表的な8項目を図に整理してみました。終活の目的は「今を楽しく生きながら天寿を全うする」になりますね。
- 入院などに備える。
- 介護に備える。
- 葬儀の準備をする。
- 埋葬(お墓)の準備をする。
- 遺産相続の準備をし、遺言書を作成する。
- 資産を整理する。
- 不用品を処分する。
- 人間関係を整理する。
「今を楽しく生きながら天寿を全うする」という目的を達成する上で重要なのは「自分のため」かつ「生前」の項目です。そのため、図の左下の「入院などに備える。」「介護に備える。」は優先順位が高くなります。
逆に、親類縁者がほとんどいないので、「他人のため」かつ「死後」の項目(右上)は優先順位が低くなります。死後、葬儀も要らないとなればなおさら……。
それから、物をため込む性格があると、普通に生活しているだけで不用品があふれてしまいます。ゴミ屋敷で身動きがとれないまま孤独死して、何か月後かに白骨死体が発見された……。そんな悲劇を避けたいのなら、「不用品を処分する。」は最優先項目になりますね。
図の真ん中にある「不用品を処分する。」に早めに取り組み始め、地道にコツコ ツ継続する必要があります。そうすれば、生前の生活の質を向上させ、死後に他人が遺品整理しやすくなり、少なくともゴミ屋敷での孤独死は防げるはずです。
何から始めるかを決めると迷わない
やることリストを作るのは、自分の終活で必要なことを洗い出し、それらに優先順位をつけるためです。リストを見ながら「あれもこれもやらないといけない」と焦らなくても大丈夫!
エンディングノートを書くよりも先に、やることリストを作って何から始めるかを決めてしまった方が、その後の終活で迷わなくなるはずですよ。